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基本説得テクニックの特質と留意点
●「感情」―――新たな価値を生み出すテクニック 交渉に有益な第一次説得テクニックの中でも、「感情テクニック」が効果を発揮できる状況においては、他のテクニックに勝る。「感情」を使うべきかどうかは、その関係性と相手の性格によって判断するものである。 例えば、長年、取引を行っていた業者に取引中止の申し出とともに、最後の納入日を早めてもらいたいというような要求をする交渉の場合、感情的アピールだけでは相手をその気にさせることはできないだろう。 一方、これからお互いに実りがある関係を作っていこうとする新規取引先に、ちょっとした無理を聞いてもらいたい場合なら、感情テクニックが非常に有効である。 「感情」は「感性価値」を作り出すものだ。関係が長期的なものと思われている場合ほど、効果を発揮するのである。 ●「論理」――――テクニックのメリットと弱点 「論理テクニック」は、否定不可能な事実を根拠とするものであり、これも感情テクニックと並んで、強力な説得ツールである。 ただし、この論理テクニックでも失敗する場合がある。それは、相手がさらに強い論理的主張をしてきた場合だ。 「論理」と「論理」がぶつかった場合、より説得力があるほうが有利である。その場合の説得力は、その論理的主張の強さだけでなく、力関係への配慮など、結局、感情的な要因の影響が関係してくるのである。 ●「威嚇」――――テクニックの取扱注意 「威嚇テクニック」は婉曲的でなければならない。ストレートな威嚇を使うと、相手も同じ手を使ってくる可能性が非常に高い。これがエスカレートすると、信頼関係も壊してしまうことになる。 また、威嚇テクニックを使う場合の、もうひとつの重要なポイントは、実行可能な威嚇以外は使ってはならないということである。「言ってみただけ」のことが、思いがけず、引っ込みがつかなくなることも有り得る。 ●「駆引き」――――テクニックの戦略的技術 自分(自社)にとって重要な条件が金額であるならば、金額だけについて交渉するのは「駆引き」ではなく「妥協」である。 駆引きテクニックにおいて重要なことは、自分にとって、比較的、容易に提供できるものを譲歩し、自分が最も重要視する部分については、相手の譲歩を求めることである。 例えば、顧客に「高い」と言われて、いきなり、値引きするのではなく、サービスやおまけをつけるなど、比較的、コストのかからない方法で付加価値を高め、何とか、正価で契約してもらうことが、効果的な「駆引きテクニック」である。 そのためには、あらかじめ、譲歩できるものを多く用意しておくことが重要なポイントである。それでも、手持ちの切り札(交換条件)がなくなってしまった場合は、最後の手段として、相手に提案してもらうという手もある。 例えば、「高い」と言う顧客に対して、金額を下げる代わりに「お値段は下げることができませんが、その他のサービスで、何かご要望がございましたら、考えさせていただきます。」と問い掛けてみるのである。 ここで、相手に考えさせ、提案させることができれば、突破口が見つかる。 顧客の代替条件を受け入れるかどうかはともかく、少なくとも、正価で契約するひとつの方法であることは明らかである。 ●「妥協」――――最後の手段 「妥協テクニック」は最後の手段である。最後であるだけに、結果は取り戻しがきかない。ここで、安易な妥協を行うと、大きく損をすることもありので、慎重に挑みたい。 金額、納期、支払い条件などについて、どうしても、他の交換条件では話がつかず、お互いに、歩み寄るしかないと判断した場合、どちらが最初に切り出すのか、どの程度、譲歩するかなど、様々な課題がある。 ここでは、まず、「マーカーは自分から置かない」という基本原則を紹介する。最後まで有利な交渉をするのであれば、金額呈示などのマーカーを自分から置かないことである。 (悪い例) 相手が50万円で売りたいものを、自分は40万以下で買いたいとする。その場合、自分から「40万円以下でどうか?」と言ってみたところで、相手がその金額で手を打つという保証はまったくない。 逆に、弱みをつかまれる。 そこで、「いくらなら、売ってくれるか?」と聞き、まず、相手にマーカーを置かせることがポイントである。しかし、相手が頑強で、どうしてもマーカーを置かない場合は、ここでも婉曲的な提案方法が有効になる。 「もし、あなたが40万円ならいいよと言ってくれるのなら、私も、譲歩して、40万円で買いましょう。」 まったく同じことを言うように聞こえるが、これは決して、自分だけが譲歩したわけではない。これにより、相手の同意を確認してから、正式にオファーすることが可能になる。 相手が「NO!」なら、自分も「NO!」であり、交渉を振り出しに戻せばよいのである。 第一次説得テクニックである「感情」、「論理」、「威嚇」は、自分からの譲歩を必要としない。従って、より強力なテクニックである。しかし、ビジネス上の交渉は、一般的な人間関係とは違って、具体的な契約条件を明確にし、お互いが、それを間違いなく受入れなければ始まらない。 曖昧な部分を部分を残すことが難しい分、第一次説得テクニックだけでは、決して完結しない場合が多い。 そこで、「駆引き」や「妥協」など、ある程度の譲歩を必要とする第二次説得テクニックが必要不可欠になる。 それぞれのテクニックの位置付けとしては、交渉の前半において、第一次説得テクニックで、全体の方向性と力関係を決め、後半の具体的な条件決定で、第二次説得テクニックを使用するのが適切である。 ここで重要なことは、どんなに簡単な交渉でも、第一次テクニックが前半でうまく使われているか否かで、後半のパフォーマンスが、大幅に影響されるということである。 具体的交渉条件の大詰め段階では、ストレスが多いものである。このステップを楽に通過するためにも、交渉の前半において、「感情」と「論理」テクニックをフルに活用しなければならない。
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